こんなお悩みありませんか?
•今期利益が出そうなので、決算前に100万円以上の経費を使って節税したい…
•機械等の設備投資以外で一括経費にできる方法があれば…
•将来のリスクに備えつつ、税金を抑えたい…
このようなときに活用したいのが、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)です。
1.倒産防止共済とは?
取引先が倒産して売上債権が回収できなくなったときに、自分の会社まで資金繰りが
苦しくなって倒産してしまう…そのような“連鎖倒産を防ぐため”の保険のような制度になります。
2.制度の概要
この制度は1年以上事業を続けている中小企業(法人・個人事業主)が利用できます。
ただし、資本金や従業員数など、いくつかの要件を満たす必要があります。
(例:建設業・製造業:資本金3億円以下又は従業員数300人以下、
サービス業:資本金5,000万円以下又は従業員数100人以下)
その他業種ごとに定めがあります。
掛金月額は月5,000円から200,000円まで自由に設定できます。
年間で最大240万円まで積み立てることができ、掛金の合計が800万円になるまで積み立て可能です。
“倒産防止共済”には大きく分けて3つの制度があります。
⑴共済金貸付制度
取引先が倒産して、売掛債権が回収できなかったときに
無利子・無担保・無保証でお金を借りられる制度です。
貸付金額は、
「回収できなかった売掛債権の金額」か「これまで払った掛金の10倍(最高8,000万円)」の
いずれか少ない金額となります。
この制度で利用すると、借りた金額の10分の1にあたる掛金が償却されてしまいます。
(例えば、1,000万円借りると、掛金のうち100万円分が減ってしまいます。)
⑵一時貸付金制度
取引先が倒産したなどの特別な理由がなくても、資金繰りが厳しいときや、
急に設備資金や仕入資金が必要になったときに払い込んだ掛金合計の95%まで
一時的に借りられる制度となります。
注意点:借入期間は最長1年となり、利息が発生します。
⑶解約手当金制度
この制度は「将来の資金準備」と「節税」が同時にできる制度です。
積み立てた掛金については、40ヶ月以上加入していれば、解約時に全額が戻ってきます。
ただし、解約金は収益になるので注意が必要です。
⑴のような共済金貸付制度が主な機能ですが、実際は将来の資金準備や経営者の退職金代わりとして
解約手当金制度を利用するケースが大半を占めています。
3.倒産防止共済のメリット
⑴大きな節税効果
掛金は全額を経費にできるので、利益が出ている年の税金を減らすことができます。
1年分をまとめて前払いすることで最大240万円をその年の経費にできます。
さらに、毎月払いと前払いを組み合わせることで、年間で最大460万円(※)まで
経費計上することも可能です。
※(計算例:11ヶ月分×毎月の掛金20万円+前納12ヶ月分×毎月の掛金20万円=合計460万円)
⑵退職金の備えにも使える
掛金は解約すると全額が戻ってくるので、経営者の退職準備金としても活用できます。
(例えば、積立が800万円の場合、退職するタイミングに倒産防止共済を解約し、
退職金を支給することで、会社としては解約返戻金の800万円が収益となりますが、
退職金を経費にでき、利益と相殺されます。)
退職金は受け取った個人では退職所得の扱いになるので、減税効果が期待できます。
⑶掛金の柔軟な調整が可能
掛金の増額や減額が自由に変更できるので、会社の業績に合わせて無理なく続けることができます。
資金繰りが厳しいときには月額5,000円まで減額して継続することも可能です。
⑷金融機関の信用アップ
40ヶ月以上加入していれば掛金の100%が戻ってくるため、解約返戻金は簿外資産となり、
金融機関から見ても他の資産と同様に取り扱われます。
簿外資産は貸借対照表(B/S)に計上されないため、残高の把握が難しいという問題があります。
そのため、経理上は資産として計上することを推奨しております。
4.デメリットと注意点
⑴解約すると課税される
これまで経費に計上した掛金は、解約すると収益として課税されます。
※あくまでも将来課税される点に注意が必要です。
⑵1年未満で解約すると掛金が戻らない
加入してから12ヶ月未満で解約すると、それまで支払った掛金は
全額戻ってこないので気を付けたいポイントです。
100%掛金を戻すには40カ月の加入期間が必要になります。
⑶設立1期目の会社は加入できない
1年以上事業を行っていることが加入要件になります。
そのため、会社設立1期目は加入できず、2期目以降から対象になります。
⑷解約後の再加入には制限がある
令和6年10月以降は、解約してから2年以内に再加入した場合、
その掛金は経費計上ではなく、資産計上の扱いになります。
⑸積み立てたお金を一部だけ引き出すことはできない
掛金は毎月又は毎年分割で支払いますが、解約するときは
それまで積み立ててきた掛金が一括で戻ってきます。
5.加入の際の注意点
決算直前の節税対策で加入する場合、決算日までに掛金を払い込む必要があります。
1日でも遅れると翌期の経費になるので注意が必要です。
遅くても決算月の初めに申込を済ませておかないと、入金期限に間に合わない場合があります。
倒産防止共済の引落口座をネット銀行にする場合は取り扱いができない銀行もあります。
6.最後に
課税所得が800万円を超えると税率が一律で10%上がるため、
倒産防止共済を活用することで節税効果が高まります。
倒産防止共済は、解約するときに解約金が収益になるため、いつ解約するかが重要になってきます。
もし、会社が赤字のときに解約すれば、解約金がその赤字と相殺されるので
税金がかからないこともあります。
倒産防止共済は加入するだけではなく、「いつ解約するか」という出口戦略を考えることが
重要になり、会社にとって一番有利になるタイミングを見極めることが大切になってきます。
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執筆担当者:税理士 矢野修平